標準化と差別化について

今担当している仕事をしていて、昔から難問だと思っていることがやっぱり気になってます。
それは、物を作る際に標準化された技術と差別化された技術の使い道です。
「標準化」は基本的にはある範囲でどんな製品やサービスでも同一な機能や付加価値を提供できるようにするためのもので、「差別化」はある範囲で、他とは異なる機能や付加価値を提供するためのものだと思われます。
なんとなく相反する要素を含んでいる雰囲気があります。
物を作る際、この2つの軸をどこにどう組み込んで製品やサービスを全体として付加価値を最大化することが重要なんだと思います。
最近はオープン化戦略とか分散システムといったようにある製品やサービスが単体で機能するよりも、色々とつながったり、組み合わせたりしてこそ威力を発揮することが重要視されていると思います。
そのことは、つなぐための「標準化」、組み合わせるための「標準化」がおそらく大事だと考えられます。
また、別の表現をすると、最近では「モジュール化」された物作りが強みを発揮していると言えます。
よく言われることですが、デジタル化に伴い機能をモジュールとして分割し、それらモジュールを組み合わせた作り上げることでさまざまなメリットを生んできているんだと思われます。
デジタル化というのは、物事をサンプリングして量子化、符号化して細かく見るとギザギザになるような扱い方をすることです。
「曖昧さ」や「頃合い」みたいな部分を「白と黒」に分解して表現するようなものです。
そうすることで色々な「雰囲気」的なものも数値化して扱えるようにするのですね。
これによりルールや仕組みを取り決めやすくなり、マニュアル化できるようになります。
マニュアル化できると、そのマニュアルに沿っていれば比較的容易に別のものに置き換えることも可能になります。
こうやって、「モジュール化」の浸透には「デジタル化」が一役買っているのです。
モジュールを自由に組み合わせしやすいようにするためには、それら各モジュールの仕様を誰でもわかるように「標準化」したり、各モジュールを自由に組み合わせ可能にするためにつなぎ合わせ部分の「標準化」する必然性が出てきたのです。
そしてこの「標準化」を効率的に活用するために「オープン化」が理に適っていたのですね。
ここまでくると、自分達がある製品やサービスを創ろうとするとき、この「標準化」の枠組みの中に入っておかないと話にならないということになってきます。
そうやって「標準化」へのモチベーションは高くなる一方なのです。
しかし、「標準化」は一方でいわゆる参入障壁なども低減しています。
比較的容易に新しい分野に挑戦できますし、新しい競合者が突然出現することもあります。
その時、他社と競争して勝ち抜いていくための源泉の1つになるのが、「その製品やサービスならでは」の「売り」になるものでしょう。
それが「差別化」要素になると思います。
「デジタル化」や「モジュール化」がここまでもてはやされるようになる前から「差別化」は基本的な戦略行為の要素でした。
物やサービスを他よりも多く売ったり、より高価な価格をつけるために「差別化」は常套手段だと言えます。
ただ、今の世の中ではより頻繁により多くの競合と競って聞く必要が出てきているため、より「差別化」は貴重な要素になっていると思いますし、より難しいことになっていると感じています。
「標準化」に合わせこむのも大変ですが、「差別化」を実現するのは全く次元の異なる難しさがあるのは皆さん想像がつくと思います。それ故にまずは「標準化」をキャッチアップして市場に出してみて、その後「できれば」早急に「差別化」を実現したものを出していこう、というアプローチが多くなるのです。
「差別化」はそのネタを見つけて育てて製品化できるレベルまで練り上げるにはそれなりに覚悟とコストが掛かることが多いのです。
この考え方は「作り手」の立場から見た思考になります。
では「標準化」と「差別化」はユーザーから見たらどう見えるのでしょうか。
「差別化」がユーザーに与える影響は、ユーザーがあるものを選択する際にその選択のきっかけを与える力になるということがあると思います。
ユーザーはものを選択する際、必要な機能や性能などをどの程度の費用で手に入れるのか、より便利で快適なものは何か、というようなパラメータで選択していると言えます。
その内容は対象となる物やサービスで異なると思いますが、ユーザーが購買可能な範囲で可能な限り享受できる効用を求めて購買行動するのだと思います。
要は「標準化」の部分は当然機能して然るべき「ベース部分」的な位置付けになり、「差別化」の要素で自分が求めている優先度に沿って選ぶという感じではないでしょうか。
そう考えていくと、新しい物やサービスを創ろうと思った時、この「標準化」と「差別化」という2つの軸を、その創るものの構成要素としてどのように定義して、どんな割合で入れ込むか、またはそれぞれを連携させるか、などの作戦が重要になってきます。
先に書いたように後から「差別化」要素を用意しようと思うときも当然このことを考えておかないと、後からなんて「差別化」要素を付け加えることなどできなくなってしまいます。
なんせ一度造り上げてしまったものを後からいじることは通常は容易でなないことが多いですし、想像していなかったものを後から付け足すのは余計に手間がかかります。
モジュール化のメリットは機能を部品として扱える事による代替性のよさでしたので、ここを生かして「標準化」と「差別化」も織り込んでいくべきでしょう。
今回は「標準化」と「差別化」について注目して製品やサービスを創り上げていく事が重要ではないかという視点で問題提起してみました。
書き始めてみると、これはかなり大きなテーマに思えてきました。
思えば私はいくつかの標準化技術を製品に取り入れたり、標準自体を業界で開発したりする仕事を結構してきたことに気がつきました。
また、その仕事の中で色々と難しいことや成功したこと、失敗したと思うことも経験してきたと思います。
ですから、このテーマについてこれから整理して共有できるようにしていきたいなと思いました。
ということで、この後少し時間をかけて考えてみたいと思います。